「BLを子供に見せるな」堺市立図書館BL小説撤去事件(2008年)

一連の報道から大阪府堺市立図書館でBL小説が撤去された事件(2008年)を思い出した方も少なくないのでは。以下、旧ブログのエントリーから。
 

相変わらず頭の痛い図書館BL問題と報道メディア。
(ScrapBook of Plumber、2008年12月29日)
http://d.hatena.ne.jp/natsu_san/20081229/1230585137

廃棄の差し止め要求を出した市民団体の方が図書館にあたったところ、この要求は「少数の匿名市民」による「執拗な要求」だったことが分かっています。

 

堺市立図書館、BL本5500冊排除騒動の顛末『創』5月号(上野千鶴子)
(みどりの一期一会、2009年4月19日)
http://blog.goo.ne.jp/midorinet002/e/9fb9e79ee3faeed84eded3f0ea360102

堺市に届いたメールから分かったことは、特定図書を排除したい人たちは、「同性愛」自体を嫌悪している。同性愛への差別と偏見から「BLをこどもに見せるな」といい、「BL本を処分せよ」と迫った。

 
この事件、漫画・アニメ・ゲームの性表現や暴力表現に法的規制をかける為のロビー活動を長年続けている韓国産の純潔カルト「統一教会(協会)」がバックアップしていた事も波紋を広げました。
 

堺市立図書館でのボーイズラブ本排除
(カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記、2009年04月14日)
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20090414#1239646227

インタビューで、記者の方から世界日報の名前を出していました。記事タイトルでは上野氏の単独記事ですが、実際には抗議に加わった寺町みどり氏と2人へのインタビューです。世界日報』の記事について、上野氏は「「子どものために」という大義名分は、無知と無垢を装う、わかりやすい言い分ですね。ジェンダーフリーへのバックラッシュ性教育バッシングから始まった時も、「子どものため」と「行き過ぎた性表現」という二つのキーワードでした。その点は共通しています」と評しています。

  
これは統一教会の機関紙「世界日報」の記事です。
 

堺市図書館に大量の同性愛小説 5500冊、過激なイラストも
世界日報、2008年10月28日)
http://s01.megalodon.jp/2008-1101-2223-55/www.worldtimes.co.jp/special2/doseiai/081028.html

図書館「市民の要望に応えた」市議「ポルノと同類、処分を」
 
「BL(ボーイズラブ)本」というものをご存じだろうか。高校生風の若者が表紙を飾るが、コミックではない。男性同性愛を扱った少女向け小説だ。この夏、堺市の市民が、性描写があり過激なイラストもある「BL本」を公立図書館が大量に購入して、開架するのは青少年育成からも不適切と抗議、改善と実態の公表を迫った。図書館側は五千四百九十九冊を所蔵、購入額は三百六十六万八千八百八十三円と回答した。BL本大量購入の背景を取材した。
 
堺市中央図書館の担当者によれば、現在、中央図書館に約二千冊、北・南・西・中図書館にそれぞれ四百冊から八百冊程度ある。平成二年に初めて購入した時は一、二冊程度だった。一番多い年は平成十五年で、五つの図書館で約百冊ずつ購入したという。「図書館側が、主体的に購入したわけではなく、利用者の要望に応えたもの」と説明。
 
堺市立図書館が毎年、購入する図書総数は六、七万冊。これに対して、二十万から三十万冊のリクエストが市民から届く。図書選定担当者が新刊図書案内などの資料などを参考にし、事前調査をした上で、毎週、約一日半の時間を費やして千数百冊の購入リストを決定する。ただ、人気のある本には千人以上のリクエストが殺到し、「予約して三年近く待たせてしまい、苦情を頂いたこともあります」。
 
BL本については熱烈な一部愛好者がいて、一人で五十枚から百枚の購入希望を申し出る人も。「同じ本を、二十人以上から要望されれば、一、二冊買ってきました」と語る担当者。積もり積もって五千冊を超えたという。
 
図書館側は購入時から、BL本を一般書物と同じ本棚で開架するのではなく、書庫に保管し、リクエストがあれば貸し出すという方法をとっていた。だが、頻繁な貸し出しで、書庫に収めず、開架の本棚に並ぶなどルーズな状態にあったところ、市民から苦情があったという。
 
担当者は、「ジェンダーフリーも文化と受け止め、購入してきたが、最近は過激なイラストが入っていたり、袋閉じのものが出たりしており、青少年健全育成の観点からも、一定の配慮が必要であると認識し、この二、三年は購入していない。一部に書庫から開架に並べてくれ、という声もあるが、毅然として従来の姿勢を示していきたい」と述べた。
 
図書館は学校、博物館とともに行政の教育機関という位置付けがなされており、同図書館では青少年健全育成の観点からポルノ小説、漫画本、ヌード写真集などは購入していないという。
 
この件について、水ノ上成彰・堺市会議員は「BL本の中身、イラストを初めて見たが、実質的にポルノ本だ。男女間のセックスを扱ったポルノ本の購入を禁じていながら、男同士のセックスを扱ったBL本購入を容認するのは、おかしい。青少年健全育成の視点からも、公共の図書館からポルノ本に類する書物は処分すべきと考える。教育委員会とも話し合っていきたい」と語った。

 
日本国内だけで47万人以上の信者を抱えるといわれている統一教会文鮮明教祖(昨年死去)は同性愛を「サタンの所業」と糾弾していました。「宇宙を破壊する」とまで言ってます。さすがカルト。
 

文鮮明教祖「サタンがこの世の家庭を破綻させています。同性愛、フリーセックス、人倫破壊等によって人生を台無しにする戦略を用いています」「ホモセクシュアルレズビアン自分勝手な愛です。破壊をもたらすのです。人間破綻、家庭破綻、子女破綻、国家破綻、世界破綻、宇宙破綻をもたらすのです」
http://ameblo.jp/chanu1/entry-11302280977.html

都条例問題(非実在青少年問題)では下部組織を使って規制強化に賛成する請願を都に提出。信者を動員して秋葉原でデモを行っています。
 

このデモから見てとれる、ある程度確実性のありそうなことは、
統一協会が「東京都青少年健全育成条例」問題に関わっている / 関わろうとしている
統一協会秋葉原を「性的に問題がある」存在で、攻撃の標的と見なしている

となりましょう。

 
同性愛と同様にポルノグラフィも憎んだ“真のお父様”(統一教会信者は教祖をこう呼ぶ)は、「ポルノ販売はサタンによる破壊工作」とも言っていたとかw
 
最後に統一教会と国会議員の爛れた関係について取材を続けている「やや日刊カルト新聞」のエントリーを紹介しておきます。
 

 

わが父 文鮮明の正体

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青春を奪った統一協会―青春を返せ裁判(東京)の記録

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