都知事選の参考資料:小池百合子氏と鳥越俊太郎氏に関して


 
案の定、醜聞罵倒合戦ばかりが激化の一途をたどっている東京都知事選挙東京五輪に伴う浄化政策の問題が議論の俎上に載せられる気配は微塵もありません。

そんな中、インターネットユーザー協会(MIAU)が、各候補者に対して「ゲーム・漫画・アニメ等の規制について」という設問を含んだ恒例アンケートを実施しました。
 
 
残念ながら「コミケ応援宣言」で注目されている小池百合子氏は現時点で無回答です。
 

小池百合子氏のコミケ応援宣言が波紋 本当に「漫画表現」は守られるのか
J-CAST、2016年7月18日)
http://www.j-cast.com/2016/07/18272776.html

小池氏の選対役員は、J-CASTニュースの取材に対し、次のように答えた。

表現規制推進派というのはデマです。規制を進めると言ったことはありません。表現の自由は、しっかりと守るべきだと思います。ただ、漫画などへの支援と規制とは、正反対のベクトルだとは思えません。目をそむけたくなるものも中にはあり、そこをどのように線引きするか議論が必要でしょうね」

 

いえ、デマではありません。小池氏は2008年と2011年に、漫画などに対する規制強化を推進する為の請願を国会に提出しています。

 

青少年健全育成のための有害図書類・有害情報規制に関する法整備を求めることに関する請願
(2008年、第169回国会)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_seigan.nsf/html/seigan/1693212.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/169/yousi/yo1693262.htm *1

有害図書規制の法制化をすること。
・インターネット上の有害情報を削除するシステムをつくること。
罰則規定を設け、法律の実効性を確実なものとすること。

青少年健全育成のため、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の早期改正を求めることに関する請願
(2011年、第178回国会)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_seigan.nsf/html/seigan/1780001.htm
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/178/yousi/yo1780035.htm

漫画やアニメ、ゲームソフト等「仮想のわいせつ画像や性的虐待の表現」も目に余り、これ以上、児童ポルノの氾濫を放置しておくことはできない。全ての「単純所持」を処罰できる有効な法律改正をすべきである。

 

児童ポルノ禁止法の罰則は、製造罪で3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、所持罪は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。*2
 
小池氏が5年前に提出した請願は、同法に漫画・アニメ・ゲームといった架空創作物を新たに含める事、つまり違反したボーイズラブ漫画などの作家とその読者に懲罰を加える施策を要望するものでした。
 


 
コミケ参加者にアピールした以上は、なぜ「不健全漫画」を所持しているだけで刑務所にブチ込まれ、社会的生命を剥奪されるという熾烈な人権弾圧政策を求めるおかしな声に同調したのか、小池氏にはその説明責任があると思います。
 

*3
 
ちなみに2008年の請願には、高市早苗氏、森山真弓氏、船田元氏など日本会議系の規制派の名前がズラリと並んでいます。
 *4
 
そもそも日本会議国会議員懇談会」の副会長を務めている小池氏が、表現規制を推進するという日本会議の方針に背反できるのでしょうか?
  
選対役員の苦しいコメントにも、その難しさが表れている気がします。
 
 
一方、小池氏の対抗馬である鳥越俊太郎氏には問題が無いのかといえば、決してそんな事はありません
 

 
学生時代、鳥越氏が司会をしていた「ザ・スクープ」をよく観ていましたが、少年犯罪や青少年問題に対する同氏のコメントには首を傾げる事がままありました。
 
MIAUのアンケートの回答においても、鳥越氏は原則として規制強化には慎重ではあるものの、石原慎太郎謹製の「東京漫画規制条例」を評価したようなこの手の一部リベラル/フェミニストに一定の配慮も示しています。
 *5
 
以下、鳥越氏の回答。
 

質問:ゲームの規制について
 
ゲームには、教育効果が期待される場面もある一方で、青少年に有害な影響を与えており、規制を強化すべきであるという意見があります。東京都としてどのように取り組むことが望ましいと思いますか。最も近いものをお選びください。
 
A. 現状は適切な表現区分や販売規制が行われているとは言えず、制度の見直しが必要である。
B. ゲームの影響を科学的に判断するために、さらなる調査が必要である。
C. 現在の表現区分・販売規制で適切である。

鳥越氏の回答:B. ゲームの影響を科学的に判断するために、さらなる調査が必要である。
 
選択理由:規制には慎重でありたい。年齢によって使いこなせる内容は違うと思いますが、どんな問題が生じているのか、その問題とゲームとの関連はどうなのか、しっかりと見極める必要がある。

質問:コンテンツに対する規制の主体について
 
ゲームや漫画、アニメ等に対する内容・表現の規制は、青少年へ悪影響があるから、一定の規制が必要だという意見がある一方、販売時のゾーニングや業界団体のレーティングが機能しており、国や自治体が立ち入るべきでないという意見があります。この点についてはどうお考えでしょうか? 最も近いものをお選びください。
 
A. 国レベル、法律レベルで議論し、強制力のあるしっかりした規制を導入すべきである。
B. 自治体レベルで、地域の実情にあわせた販売規制を導入すべきである。
C. 個々の企業や業界団体と連携し、民間の自主的な取り組みを支援するに留めるべきである。
D. 本来、個人や家庭の問題であり、行政はあくまでこれらのサポートに徹するべきである。

鳥越氏の回答:該当なし
 
選択理由:該当なし。原則論から言えばDだと思います。規制には慎重でありたい。しかし、どんな問題が生じているのか、その問題とコンテンツの関係はどうなのか、しっかりと見極めて、現在の制度ではカバーしきれない問題があるのかどうか、皆さんと一緒に考える必要があると思います。

 
鳥越氏に声援を送っているリベラル/フェミニスト系の規制推進派が、これまで様々な「問題」を散々デッチ上げてきたという実態を踏まえると、この程度の模範的回答にすら懸念を抱かざるを得ないのが正直な所です。
 

 
東京五輪までに日本が変態の国と呼ばれないようにしたい」と宣誓したECPAT運営委員の金尻カズナ氏は、他に極左フェミニスト団体「ポルノ・買春問題研究会」(ポルノ被害と性暴力を考える会の母体。通称APP研*6や例のライトハウスにも所属。
 
 
「ご注文はうさぎですか?」(ごちうさ)はTBSで放映された全年齢向けの萌えアニメ。キャプションで「ジュニアアイドル作品」とされているDVDは、小柄な成人女優が出演したコスプレAV。いずれのソフトも業界団体の審査を経て正規流通しており、当然の事ながら児童ポルノ禁止法には抵触していません。

アクセスを稼ぐ為ならばデマを流しても平気の平左。極右系の2ちゃんねるまとめブログとやっている事は同じ。
 

 
 

ちなみに鳥越氏は1989年まで毎日新聞に在籍していました。
 

 
 
処刑の部屋 [DVD]

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完全な遊戯 [DVD]

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*1:請願の要旨は衆議院のHPに掲載されない為、参議院のHPにある同名・同内容・同国会に提出されたものを引用した。http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/169/futaku/fu16900633262.htm

*2:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO052.html

*3:おときた駿都議の青少年・治安対策本部を不要とする指摘に首肯。悪名高い同本部については前回のエントリを参照の事。http://mxixtxbx.hatenablog.com/entry/2016/07/19/202216

*4:小池氏は全教協でも講演をしており、ニコニコ動画のイベントで自民党コスプレイヤーから支持を受けたと語っている。https://www.youtube.com/watch?v=6Afde4Le4d8

*5:中里見博氏は極左フェミニスト団体「ポルノ・買春問題研究会」(ポルノ被害と性暴力を考える会の母体)の代表。http://bit.ly/2aA8qgw

*6:ポルノ買春問題研究会」と「ポルノ被害と性暴力を考える会」のメモ http://mxixtxbx.hatenablog.com/entry/20121226/p1