朝日新聞社説「貧しい漫画が多すぎる」(1990年9月4日)



漫画における表現規制問題の生き字引である評論家が批判している社説が、これ。
 

社説:貧しい漫画が多すぎる
朝日新聞、1990年9月4日)
http://www.hmt.u-toyama.ac.jp/socio/lab/sotsuron/97/kato/8-poorcomic.html

東京都の生活文化局が、市販されている332種の週刊誌や月刊誌について、そのセックス描写を調べてみた。硬派の雑誌も含めた調査だが、それでも、あきれるような数字が並んでいる。
 
「漫画の50%は性的描写を含み、8%は自慰行為を描いていた
「グラビア写真に登場する女性のうち、41%が性的器官を強調されていた」
 
4コマ漫画を除く、いわゆるストーリー漫画を約1200作品、約13万コマを丹念に調べた結果だ。グラビア写真の人物は約7000点検しており、この種の調査としては、前例のない規模だろう。外国からやってきた人は、電車に乗ってみて、露骨な漫画や写真の載った印刷物を広げる日本人の多さにびっくりする。ポルノが解禁されている欧米でさえ、場所も時間も構わずに、これほど堂々と「性」がはんらんしている地域は珍しいだろう。
 
都民へのアンケートでも、青少年への影響を憂える声が大きかった。こうした漫画や写真を幼い時から見せられて育つと、どんな人間になるのだろうか。文化の将来を考えて、そら恐ろしい気持ちにもなる。
 
とくに強調したいのは、こうした現象を女性の立場で考えてみる、ということだ。今回の調査を分析した執筆陣は、性の商品化、とくに女性を「モノ」として見る風潮を厳しく批判していた。
 
都民に「女性の身体の一部を強調した表現をどう感じるか」と聞いてみた。女性の55%は「不快だ」「女性蔑視」と答えており、「きれい」との反応は17%だけだった。男性の、それぞれ18%と39%に比べると、感じ方の違いが分かる。
 
集められた漫画の多くが、男性中心の物語だった。暴力による性行為でも女性は快感を感じるとか、つねに奉仕するポーズを女性にとらせるとか、男の好色に都合良く描かれている作品が少なくない。
 
男性の編集者や漫画家は「物語の流れから必然の描写だ」「女性蔑視どころか、美しく描いている」などと反論する。しかし、「性交の場面がキス場面の2倍以上もある」といった調査結果を読むと、商売優先、そして発想の貧困、と思わざるをえない。
 
この夏、鉄腕アトム」の手塚治虫さんをしのぶ展覧会が、東京国立近代美術館で開かれた。ユーモアと人間性、そして文明の将来を憂える哲学など、改めて学ぶことは多かった。その理想と想像力を後輩作家がもう少し受け継いでいたならば、「漫画亡国」の批判も起こらなかったろうに。
 
昨年、大胆な水着ポスターなどに抗議した女性グループがあった。不自然な図柄は劣情を刺激し、女性の人格を無視している、という主張だ。非を認め、前向きの努力をした企業も少なくない。エッチな出版物についても、女性の側から「不快です」の声が続けば、内容は変わっていくかもしれない。
 
もちろん、低劣であることを理由に、法律や条例で規制するべきではない。問題の多い雑誌などがあっても、話し合いと、出版側の自制で解決していくべきだ。
 
その代わり、マスコミに携わるすべての人々は、1975年に国際婦人年世界会議で採択された「メキシコ宣言」を思い起こしてもらいたい。こんな趣旨の一説である。
 
「すべての報道、情報、文化メディアは、今日なお女性の発展を妨げている文化上の要因の除去につとめ、女性が果たしていく価値を肯定的に社会に投影させることについて、高い優先度を与えるべきである」

   
死人に口無し。
 



 
同社説は、大阪を拠点とする日本会議*1宗教右翼による「有害コミック撲滅運動」を全国に拡大させる端緒となったといわれています。
 
*2
ところで、全国紙の社説を担当している論説委員も、漫画を「事後検閲」する東京都青少年健全育成審議会の委員を務めている事はご存知でしょうか。
 

「不健全」図書として指定できるのは、性表現だけではない。東京都の場合、暴力や犯罪、さらには自殺に関する表現を規制することもできる。規制対象に「犯罪」と「自殺」が追加されたのは2001年3月だが、当時、朝日新聞の津山昭英・東京本社編集局記事審査部長は東京都青少年健全育成審議会の委員であった。新聞社の人間が指定の適否を判断する東京都青少年健全育成審議会に委員として参加していることに問題はないのだろうか。また、こうした事実がまったく報道されないのはなぜだろうか?

帯紙措置は東京都青少年健全育成審議会による指定(個別指定)と連動している*3。2004年3月の条例改定では、包括指定の導入に代え、この個別指定が強化されている。この個別指定の強化については、毎日新聞社の瀬戸純一論説委員が、2003年11月17日開催の第524回東京都青少年健全育成審議会で、「1ヵ所でも、あるいはちょっとでも、それこそ犯罪的なものがあれば、それは短くてもだめ」と指摘し、分量基準を満たさなければ指定されない包括指定を導入するより、分量に係りなく指定できる個別指定を強化すべきだと主張していた。

「有害」規制監視隊 青少年条例をめぐる動き
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/data/jyourei/2004-2.htm

 
今期は毎日新聞論説委員と読売新聞の編集委員が担当。
 

保高芳昭 読売新聞東京本社編集委員
伊藤正志 毎日新聞東京本社論説委員

第26期(26.10.1~28.9.30) 東京都青少年健全育成審議会委員名簿
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/pdf/seisyounen/pdf/09_singi/26ki_meibo.pdf


 
イチャモンをつけて懐が暖まるのですから、お気楽な御身分だと思うのですが、民草には分からない苦悩もあるようですよ。
 

「あの審議会の委員はあんなものを見て報酬をもらってとんでもないなんて言われやしないかと思うと、私、委員をやめようかと思うぐらいですよ」
(東京都青少年健全育成審議会委員の発言、2000年12月14日)

「ではどうぞ辞めてください。それだけのことだ」
(長岡義幸氏/ジャーナリスト、「ず・ぼん第7号/学校と図書館・非常勤の未来」から)
http://www.pot.co.jp/books/isbn978-4-939015-35-9.html 

 
参考までに。
 
http://erohika.com/wp-content/uploads/2014/08/df6420b4-s.jpg
 
読売新聞といえば、非実在青少年規制問題の社説が酷かったですね。
 

社説:都青少年条例 露骨な性描写の規制は当然だ
(読売新聞、2010年12月15日)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101214-OYT1T01203.htm

青少年の健全育成の観点に立てば、規制強化は当然だろう。
 
当初の改正案は、18歳未満の少年少女の性行為を肯定的に描いたものなどを新たな規制対象として加えるというものだった。しかし、民主党などが「対象があいまい」との理由で反対し、6月の議会で否決された。都が手直しした上で議会に再提出した今回の改正案は、強姦(ごうかん)など法に触れる性行為を「著しく不当に賛美し又(また)は誇張する」作品は成人指定できるとしている。このため民主党は賛成に転じた。

条例案には「慎重な運用」を求める付帯決議が加えられた。条文を拡大解釈して乱用するようなことはあってはなるまい。都の成人図書の指定は、PTAの代表や出版・報道関係者、都議らで構成する審議会で行われている。今後、審議会にかかる作品の幅が広がり、新たな判断を迫られるケースも出てくるだろう。より多様な意見を議論に反映させるため、漫画家を委員に加えることなども検討してはどうか。

青少年に対する漫画の販売規制は自治体によって基準が異なり、東京都の議論だけで問題が解決するわけではない。どんなに出版物の販売が規制されても、ネット上には過激な性描写の画像が氾濫している。家庭や地域、各業界ぐるみで子どもを守るための取り組みを進めて行くことが肝要だ。


 
  
 
選挙結果についての更新は後日。
  
(都外在住者を無視した)喧嘩祭の彼是についてはツイートしません。火達磨になるのが目に見えています。御免蒙る、非都民なのに*4
 

正鵠を射たこのコメントは、永山薫氏と同じく漫画の表現規制問題を長年取材している長岡義幸氏(ジャーナリスト)によるもの。規制推進に拘泥している警察官僚らが巣食う青少年・治安対策本部という癌を治療しないかぎり、一連の事態が改善する事はあり得ません。
 
 
以下、長岡氏と永山氏の著作。必読。
 
マンガはなぜ規制されるのか - 「有害」をめぐる半世紀の攻防 (平凡社新書)

マンガはなぜ規制されるのか - 「有害」をめぐる半世紀の攻防 (平凡社新書)

東京都青少年健全育成審議会の場合「有害」「不健全」図書は誰が、どうやって決めているのか
(長岡義幸氏、2001年8月6日)
http://www.pot.co.jp/zu-bon/zu-07/zu-07_154

東京都条例は他の自治体の条例とは大きく違って、業界の「自主規制」と連動しているのが特徴になっている。三回連続指定を受けると、出版四団体(日本書籍出版協会日本雑誌協会日本出版取次協会日本書店商業組合連合会)で構成する出版倫理協議会(出倫協)が制定した申し合わせによって「一八歳未満の方々にはお売りできません」という帯紙を付けて販売しなければならず、書店に対しては定期改正(仕入部数の変更)を求めることになっている。必然的に流通部数が減ってしまうために、休刊(実質的な廃刊)を余儀なくされてしまうのが通例だ。

比較的緩やかとされている都条例ではあるけれど、業界の「制裁措置」を担保にしているという意味で他の条例よりも厳しい運用がなされているといっていい。宝島社はこのような業界自身による「自主規制」措置と条例規制の連動にも異議を唱えたわけだ。
 
審議会委員は「ある意味においては無力なこの委員会に対する挑戦でもあるのではないかと思えます」宝島社はもっとこらしめてやらないとと思います。これはとんでもない出版社ですね」とてらいもなく悪罵を投げつけるのは、何度指定してもひるまない宝島社に対する反発であろう。しかも彼らは東京都が「不健全」指定してもいいかどうかを審議するのが役目であるはずなのに、本音は「出版社をこらしめて」やるために指定を行っていたことも明らかにした。ただの行政手続きではなく、業界の自主規制と連動した恣意的な懲罰のために「不健全」指定制度が存在していることを自ら暴露したようなものだ。

マンガ論争7

マンガ論争7

 
 

*1:※注:当時は「日本を守る国民会議」。念法眞教の開祖は、日本会議の前身となった同団体で代表委員を務めていた http://bit.ly/29VjbWL]

*2:昨年、念法眞教の要請によって強制非表示になる騒ぎが起きた。「このブログが念法眞教の要請により非表示になっていた件」http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20151124

*3:連続で指定されるなどした場合、事実上の廃刊となる

*4:日本会議などの集票マシンに関する過去ツイートを近日中にまとめる予定

<2016参議院選挙>表現規制を推進した候補者の情報


総合政策集2016 J-ファイル(自民党の選挙公約)
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/pamphlet/sen_san24_j-file_0620.pdf

311 青少年の健全育成
青少年健全育成のための社会環境の整備を強化するとともに『青少年健全育成基本法』を制定します。

  
漫画・アニメ・ゲーム・映画に対する表現規制を推進した与野党候補者に関するツイートを集めました。規制反対派の候補者については下記サイトを参考にして下さい。お薦めです。
 

2016 表現規制反対候補 第24回参議院議員総選挙 期日前投票に行こう! | KITAJIMAのお絵かき研究所

 
選挙期間中、政党や候補者をめぐって醜悪な罵倒合戦が起こるのは毎度の事です。これに嫌気が差して、ブログやBBSを閉鎖したり、反対運動から離脱するといったケースを幾度も見てきました。耐性が無い人はSNSの設定を変えるなど何らかの対策をした方が賢明ですw
 


 
白票の投票を呼びかけている連中は無視しましょう。決してこの手合いを相手にしてはいけません。白票は無効票。つまり棄権するのと同じ事。組織票に支えられている規制推進派の候補者を喜ばせるだけです。
 
「支持政党なし」にも注意。比例区の投票用紙には候補者名を記す事を推奨します。
 

 
<選挙区>

山崎力の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

 
 

中曽根弘文の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

中曽根弘文候補は、漫画や映画などを規制する青少年健全育成基本法案(青健法案)の発議者です。


 

上野通子の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

全国教育問題協議会(全教協)については下記まとめを参照の事。


 

関口昌一の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

 

中川雅治の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

 
 

水野賢一の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

青少年健全育成基本法の制定に関する請願(第159回国会)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_seigan.nsf/html/seigan/1591336.htm

<提出者>
水野賢一自民党

提出時は自民党現在は民進党に所属。
 


 

宮沢洋一の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

 
 
<与党比例区

山田宏の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

当時、山田宏候補は維新所属。現在は自民党

 

山谷えり子の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

※上記リンク修正
https://web.archive.org/web/20140723005311/http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2010/05/post_d0a0.html

 
 

片山さつきの候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治



 

大江康弘の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治



 
公明党
近年の表現規制問題における公明党とかいう下駄の雪の責任は非常に大きい。
 
 
<野党比例区

田中直紀の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

民進党から出馬した田中直紀候補は、自民党時代に前述した中曽根弘文候補群馬県)と共に青少年健全育成基本法案を推進していました。

青少年社会環境対策基本法は青少年を救わずメディアを殺す
(MAMO's SITE ジャーナリスト坂本衛のサイト、2003年12月7日)
http://web.archive.org/web/20060504235007/http://www.aa.alpha-net.ne.jp/mamos/anti/houmure.html

次に、青少年社会環境対策基本法案(現在の名称は青少年健全育成基本法案)の中身について、いくつか指摘しておこう。(中略)「商品又は役務」「誘発し、もしくは助長するおそれ」「~等」など、範囲の広い曖昧な文言がちりばめられており、恣意的な裁量で好きなものを規制できるようにしてある。自民党小委員会の座長の田中直紀参議院議員は「曖昧なほうが抑止力が出る」と恫喝の意味合いがあることを隠さない。

 


 

小野次郎の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

小野次郎候補も現在は民進党
 
 

円より子の候補者情報 | 参議院選挙2016 - Yahoo!みんなの政治

 
国民怒りの声から出馬した円より子候補は、民主党時代、「青少年の心を破壊し、人間性を失わせる」として成年向けのアニメ雑誌やゲームに対する罰則を含めた法的規制を求める内容の請願を国会に提出しました。
 

美少女アダルトアニメ雑誌及び美少女アダルトアニメシミュレーションゲームの製造・販売を規制する法律の制定に関する請願
参議院
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/seigan/169/futaku/fu16900632525.htm

街中に氾濫している美少女アダルトアニメ雑誌やゲームは、小学生の少女をイメージしているものが多く、このようなゲームに誘われた青少年の多くは知らず知らずのうちに心を破壊され、人間性を失っており、既に幼い少女が連れ去られ殺害される事件が起きている。
 
これらにより、幼い少女たちを危険に晒す社会をつくり出していることは明らかで、表現の自由以前の問題である。社会倫理を持ち合わせていない企業利潤追求のみのために、幼い少女を危険に晒している商品を規制するため、罰則を伴った法律の制定を急ぐ必要がある。
 
ついては、美少女アダルトアニメ雑誌及び、美少女アダルトアニメシミュレーションゲーム製造及び販売規制の罰則を伴った法律を制定されたい。

<提出者>
円より子民主党
下田敦子(民主党

 
同請願を集めたのは、京都府公安委員会関係者・元ゲーム業界団体理事・成年向けDVDゲーム(DVD-PG)販売業者・キリスト教関係者らの市民団体。

中心的役割を果たしていたNPO野田聖子議員の支持団体)は、週刊新潮によって不可解な実態と規制で生じる利権について報道された直後、活動停止しましたが、数年前に団体名を変え、現在も稼働中。
 

 
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米国生まれの規制推進団体「ライトハウス」について

日本産の漫画・アニメ・ゲームの性表現に対する規制強化を訴えている米国産の規制推進派団体ライトハウス(旧名ポラリスプロジェクトジャパン)に関するツイートをまとめました。
 

東京都青少年健全育成条例改正案 可決について/マンガと表現の自由と人身取引
ライトハウス、2010年12月16日)
※当時の団体名はポラリスプロジェクトジャパン
https://web.archive.org/web/20110120055041/http://www.polarisproject.jp/cases/jp-children/88-japan-children/902-2010-12-16-05-49-51

ポラリスプロジェクトは人身取引という視点から、子どもを対象とした性的搾取を無くすことを活動の一部にしていますが、その意味では今回の規制強化は当然のことで、遅すぎたくらいです。
 
この規制によって、児童ポルノ(子どもからの性的搾取)の氾濫を抑えたり、児童ポルノに対する需要を軽減したり、その潜在的加害者を減らしたり、といった効果が少しでも期待できると考えています。私たちの活動から見えてくることを具体例として挙げると、インターネットや携帯サイトを通じて広がっている児童ポルノ被害は、加害者も18歳未満だったり、10代の頃から規制対象となるような図書・漫画に触れ、大人になって子どもからの性的搾取という犯罪――つまり人身取引――に手を染めてしまう、などという状況です。そしてこのような事例は少なくありません。
 
表現の自由や、創作の自由を叫ぶ声が聞かれますが、そこで守ろうとしている基本的人権の裏で、子どもへの人権侵害が起こっているわけですから、どこかに明確な線を引かなければならない。どこに引かれるべきか、という議論は続きますが、少なくとも今回の規制強化が人身取引をなくし、子どもを大切にする社会づくりの一助となることを期待します。


 

日本で広がる「JKカフェ」暗い側面 *1
(CNN、2016年1月31日)
http://archive.is/OHxWp

「人身取引被害者サポートセンター・ライトハウス」の代表、藤原志帆子氏によれば、日本文化には恥の感覚や被害者を責める傾向が根強く残っており、多くの少女らは表立って被害を訴えにくくなっている。
 
日本は長く、子どもを性的対象とすることに関し、微妙な立場を取ってきた。日本政府が最終的に児童ポルノ所持を違法としたのは、2014年6月のことだ。活動家らは、子どもを性的に虐待する場面を含むアニメや漫画を除外しているとして、この法律を批判してきた。業界側では表現の自由を理由に、こうした作品を正当化している。
 
CNNは東京の漫画店を取材。大人のみが入れる一角では、制服を着て無垢な表情をした女性のキャラクターが激しい性行為をしている場面を描いたコンテンツを見つけた。

 
ライトハウス米国に本部を構えている人権団体「ポラリスプロジェクト」の日本支部として2004年に設立されました(2014年に団体名をポラリスプロジェクトジャパンからライトハウスに変更)。設立資金を出したのは、内政干渉お家芸の米国務省*2ですw
 


 
これはライトハウスが2009年にYahoo!ボランティアで公開した収入内訳です。
 
f:id:mxixtxbx:20160214140816j:plain
 
 
ちなみにポラリスプロジェクトの代表は韓国出身のキャサリン・チョン氏。*3
 


 
近年、チョン氏の祖国は漫画の表現規制を強化。数千人の逮捕者が出るという大惨事に。
 


 
00年代後期から米国務省は例年公表している「国別人権報告書」で、日本製の成年向け漫画・アニメ・ゲームを強く非難するようになりました*4
 


2014年国別人権報告書―日本に関する部分
(米国務省、2015年6月)
http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20150724a.html

性描写が露骨なアニメ、マンガ、ゲームには暴力的な性的虐待や子どもの強姦を描写するものもあるが、日本の法律は、こうしたアニメ、マンガ、ゲームを自由に入手できるという問題に対処していない。警察庁は引き続き、これらのアニメ映像と子どもへの性的虐待の関連性は証明されていないと主張したが、子どもに対する性的虐待を容認するようにみえる文化が子どもに害を及ぼすと示唆する専門家もいた。

  
この「専門家」とやらは一体誰でしょうか?(棒)
 

人身売買報告書の判断基準に対する疑念広がる
(IPSニューヨーク、2005年6月15日)
https://web.archive.org/web/20080604134722/http://www.news.janjan.jp/world/0506/0506158388/1.php

「報告書は全くのいかさまだ。」と、ワシントンに拠点を置くシンクタンク西半球問題協議会(Council of Hemispheric Affairs)のラリー・バーンズ専務理事は言う。「麻薬、人権に関する認可、テロ、人身売買に関する報告書の類は全て、米政権が特定の国を非難する際に使う政治的な道具にすぎない」「(米国がベネズエラを「第3階層」に分類した)目的は、ベネズエラが失敗国家であることを国際社会に示し、米州機構(OAS)の介入対象国にすることだ。しかし、ここで注目すべきは、米政権がいかに孤立しているか自覚していないことである。このようなやり方を続けていくと、結局は米国の信用そのものが失われていくことになりかねない」とバーンズ専務理事は語った。

 
国務省の欺瞞体質は、TPP問題でも見られました。
 


 
こんな偽善者共とその走狗が日本の漫画にギャーギャー文句をつけているわけです。馬鹿も休み休み言え。
 

*1:取材先から抗議を受け、この記事は削除された。 参照:「【ねつ造】CNNが秋葉原のコスプレショップを無断撮影&虚偽報道で炎上【偏向】」 http://togetter.com/li/933094

*2:参照:AFP通信「米国務省、世界の民主活動家をITで支援」 http://www.afpbb.com/articles/-/2795150?pid=7070685  【松岡正剛の千夜千冊】〈世走篇〉1488夜『「アラブの春」の正体』重信メイ角川書店 2012) http://1000ya.isis.ne.jp/1488.html  日経ビジネス「香港デモの背後に米国政府のかげ」 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141006/272199/  公益財団法人日本国際問題研究所「アメリカの外交・安全保障官僚機構」 https://www2.jiia.or.jp/RESR/column_page.php?id=259  「ダレス兄弟:国務長官とCIA長官の秘密の戦争」 http://amzn.to/29HlxXr

*3:参照:Women For Hire「Opening the World’s Eyes: Katherine Chon」 http://womenforhire.com/magazine/katherine_chon/

*4:参照:米国務省「2009年国別人権報告書」 http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20100311-78.html

稲田朋美議員(自民)と在特会について

 
というわけで、稲田朋美議員(自民)と在特会に関する過去ツイートとRTをまとめました。まずは稲田議員について。
 


 
続いて在特会について。はだしのゲン」撤去問題にはこのレイシスト団体が関わっていました。
 

続・ヘドが出るような思想であっても
山本弘のSF秘密基地BLOG、2013年9月19日)
http://hirorin.otaden.jp/e292136.html

週刊文春』9月5日号の記事「はだしのゲン騒動 松江市教育委員会を縮み上がらせた右翼男と危険な組織」は、最初に松江市教育委員会に要望を出した中島康治氏(現在は高知市在住)にスポットを当てている。

中島氏が昨年5月1日に松江市教育委員会に抗議に訪れた際、在特会の京都支部長を務めたこともある西村斉氏や、在特会島根支部長も同席していた。 中島氏は「私は在特会会員ではありませんが、共闘できる部分は共闘するというスタンス」と述べている。

西村斉氏はこの年の3月に起こした「ロート製薬強要事件」で、汚い言葉でロート製薬を脅した人物で、松江市教育委員会への抗議の9日後に逮捕されている。

 


この在特会会員はアニメージュ誌上での富野由悠季監督の発言に関するデマも同時期に流しています。下記リンク先に当該人物による謝罪コメントあり。


 

大阪市議会議場にカラーボール投げつけ…容疑の男逮捕(毎日新聞
http://archive.is/ky6c4


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漫画の性表現を規制した韓国で、性犯罪とは無縁の若者や女性が大勢逮捕される事態に

漫画などの性描写に対する規制を強化し、違反した作品の販売や所持まで処罰しようとする動きが依然として燻っていますが、数年前に同様の規制を導入した韓国では甚大な人権侵害が発生しました。
 

  
高麗大学の朴景信教授によると、多くの女性が捜査対象になったとの事(後述)。我が国でこんな馬鹿げた規制を導入すれば、刑務所が幾つあっても足りない事態になるのは確実。
   

1年で2200人あまりが逮捕された苛烈すぎる韓国の「非実在児童ポルノ規制の現状……山田太郎参議院議員が市民集会で報告
(おたぽる、2015年12月2日)
http://www.excite.co.jp/News/anime_hobby/20151202/Otapol_201512_12200.html

山田太郎氏は先日の韓国訪問を踏まえて、マンガ・アニメ・ゲームの規制について解説。2011年から始まった仮想物を含めて「児童ポルノ」を取り締まるアチョン法によって2,200人あまりが逮捕されていることを説明。現在、最高裁では取り締まり範囲を制限する判決を下したが、憲法裁判所が仮想物の規制について合憲判決を下し、国会でも創作物規制の条項を廃止する法案は廃案となっている現状に憂慮を示した。
 
アチョン法では、創作物を含めて「児童ポルノ」製造などに無期または5年以上の懲役、10年間の就業制限(子どもに関わる職業のほか、子どもが集まる場所へ近寄ることも禁止)、20年間の政府への身元登録など重罰が定められている。
 
さらに、山田氏が会談した「表現の自由」を訴える韓国の国会議員によれば、こうした苛烈な表現規制の背景として朴槿恵大統領は、就任以前から表現規制に熱心だった」との発言もあったという。

 
以下、韓国人による現状説明とコメント。漫画家や読者が日本に“亡命”するケースも出ている模様。
 

The World of ‘Minority Report’ Lived in South Korea
朴景信氏(高麗大学教授/大韓民国放送通信審議委員)
http://www.jfsribbon.org/2013/07/the-world-of-minority-report-lived-in_31.html

日本で製作され、韓国でも広く見られているポルノの多くは、大人の俳優やアニメのキャラクターが未成年者と設定されて登場する。あるいはプロットはそうなっていないのに、韓国警察の目にだけは、登場人物が未成年に見えるようだ。

2012年に、韓国警察が児童性犯罪に関連して捜査に着手した事件は、全部で2224件ある。その前年(漫画規制が盛り込まれる以前)に比べて22倍に増えている。件数も驚きだが、捜査対象者の相当数が女性という点が、より驚くべきである。

子供時代にレイプ被害にあったある女性は、最近のテレビ番組で、「私の経験では、子供に対する性暴行事件を起こすのはポルノではない。ポルノの有無にかかわらず、そのような嗜好を持った人物がそのような犯罪を行う。当局は、インターネットを監視してばかりいるのをやめて、外に出て本物の犯罪者を捕まえるべきだ」と述べた。実在児童と非実在児童に同じように適用される法律条項のために、出世の点数が目的の警察官たちは、実際の犯罪を減らすことに貢献するよりも、サイバー世界で道草をしているのだ。

有罪判決を受けた人々は、20年間居住地を警察に登録しなければならないし、児童·青少年関連機関等への就職も10年間制限するという罰則が与えられる。これは、実際の子供を誘惑してカメラの前に立たせてポルノを撮影した犯罪者の量刑と同じものであり、19歳以上に見えるアニメのキャラクターや俳優を登場させて製造した一般的な猥褻物を流布する犯罪の処罰よりも、はるかに厳しいものとなっている。

 
韓国においても日本と同様に宗教的背景を持った規制推進派が熱心に活動しているようです*1。何といっても、同国は純潔カルト・統一協会(教会)の本場ですからね。
 

  
参考資料。昨年、内閣府が韓国の表現規制政策についての調査結果を公表しました。この資料によると1990年代から規制強化が繰り返されてきたようです。
 

フランス・韓国における有害環境への法規制及び非行防止対策等に関する実態調査研究
内閣府、2015年2月)
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikou/h26/index.html

韓国の青少年保護に関する主な法律は、1997年制定され有害環境環境から青少年を保護し、青少年が正しく、健全な成長を目的とする「青少年保護法」と、児童ポルノ法の「児童・青少年の性保護に関する法律」であり、両法律とも女性家族部が主管している。青少年保護法では、有害な有害薬物と有害媒体物が青少年に流通することを遮断し、有害な店舗への青少年の出入を規制している。

  
こうした政策が韓国ゲーム業界を衰退させた要因として挙げられています。「そりゃそうだ」としか言いようがありません。
 

韓国ゲーム業界が崩壊寸前!規制強化でゲーム会社の3割が“退場”「中国に追い越される状態になった」
産経新聞、2015年10月30日)
http://www.sankei.com/economy/news/151029/ecn1510290027-n1.html

 
ところで、深刻化しているという韓国の性犯罪問題表現規制によって改善されたのでしょうか?私はそんなデータをひとつも見た事がありませんが。
 

*2

国家主導で映画をレーティングする韓国、増える少年犯罪が要因か
(日刊サイゾー、2015年5月6日)
http://news.livedoor.com/article/detail/10083237/

制度的に見て、レーティングの区分も日本と同じだ。ただ、映倫が国家に規制をされないために自主的に設立・運営しているのに対し、韓国の映像物等級委員会は“映画及びビデオ物の振興に関する法律”第71条にのっとって審査を行い、運営費は国庫から捻出されている。要するに、韓国では国家的に映画を取り締まっているということになる。韓国がそこまで映画のレーティングに躍起となる理由のひとつは、増え続ける少年犯罪にあると考えられる。韓国の国家行政機関である大検察庁の2012年度の犯罪分析資料によると、当時の全犯罪者約211万人中、約10万人が未成年者だった。未成年の犯罪が年々増加を続け、低年齢化の傾向もあるという。

  
ちなみに韓国政府は映画業界に対しても圧力を加えている最中です。
   

 
個人的にリュ・スンワン監督などのハードコアな韓国製バイオレンス映画を好んでよく観るので、映画表現にまで悪影響が及ばないように祈っています。それだけは本当に勘弁して欲しい。
  
このように脛に傷がある奴らが、善人面して健全育成だ何だと叫び、表現規制を推進するのは万国共通ですね。
 
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*1:韓国の人口の3割はキリスト教徒。同国の宗教事情については「韓国の宗教/戦後、キリスト教の驚異的な成長」(島田裕巳氏/宗教学者)を参照。http://online.sbcr.jp/2015/10/004119.html

*2:当該データは未だに提示されていない。